PC6〜PC7
手早く食事を済ませて走行再開。
ここから先はしばらく平坦路。本来なら快走区間だが、風がきつくて思うように進まない。
風に負けないように必死にペダルを踏んだ。
強風に煽られながら、なんとか高地市街に到着。
当初の計画ではひろめ市場でカツオを食べるつもりだったが、仮眠やパンク、逆風の影響で余裕が消失。
それに足摺岬あたりから左膝が痛い。
時間、コンディション、この先の根曳峠にかかる時間を考慮して素通りした。
南国市を通過。
いよいよ根曳峠に突入。
PCで買ったレッドブルを一気に飲み干し、ヒルクライムスタート。
膝痛い。車怖い。勾配きつい。
往路であっさり下った坂を煩悩全開で駆け上がる。
気温が高くないのは唯一の救いか。
余裕がないと無駄が減る。
脇目も振らずに上っていたら、一度も足をつくことなく根曳峠を踏破していた。わお。
これで後は猪ノ鼻峠以外に峠はない。
よほどの事がない限り時間切れの心配は無くなった。
往路でスタンプを押した道の駅を通過。
有名なひばり食堂があったがスルー。
自分の目的地は違う場所にあった。
吉野川沿いにしばらく走って、到着。
徳島ラーメン にし利。
どれだけ時間がなくてもここだけは寄ろうと決めていた。
実は2年前のブルベでこの店(の外)にスマホを忘れたが、店長にスマホを拾っていただいたのだ。
当時は色々と事情があって直接お礼を伝えることができなかったため、改めてお礼に伺ったという訳だ。
ラーメンを一瞬で平らげて店長っぽい方に声をかける。
「あーその人もう居ないですね」
ひばり食堂に行けばよかった。
当時の店長がいないのは残念だけど、思い出の味は堪能できた。
元気をチャージして走行再開。
引き続き吉野川沿いを駆け抜ける。
溪谷だからか非常に寒い。
道路脇の温度計を見る。12℃。うぉぉ。
強風で体感温度はもっと寒い。
冬用ジャージを持ってきて良かった。
三好大橋を通過。
平坦が終わって道が空を向き始める。
少し走って、最後のPCの箸蔵駅に到着した。
PC7〜ゴール
キューシートの指示通りにパシャ。
これでPCは全て回収。
ゴール以外の制限時間は無くなった。
膝に鞭打って上ってきたので少し休憩する。
走行再開。
昨日訪れた坪尻駅の近くを通過。
眼下に昨日は霧で見えなかったスイッチバックが見える。
これ見るために展望台作ったの……?
価値観とは人それぞれなのだと、強く思った。
根曳峠より楽と思っていたが、普通にしんどい。
ペダルを踏むたびに左膝が軋む。
ヘトヘトになりながら猪ノ鼻峠トンネル到着。
トンネル内で県境を通過。香川県イン。
トンネルを抜けて一気にダウンヒル。
まんのう町もノンストップで走り抜け、国道438号へ。
うどん屋に寄りたい気持ちもあったが、膝が固まるのが怖くて走り続けた。
国道32号に入る。ひたすら北上。
綾川町を抜けて高松市イン。
信号が増えた。
ストップ&ゴーのたびに膝が痛む。
国道32号→11号へ。
ゴールが近い。頑張れば38時間を切れるかも。
ペダルを踏む足に力を込める。
栗林公園、高松城前を通過。
最後のコーナーを曲がって、高松駅に到着。
ゴールのコンビニに駆け込む。
ゴールタイムは、38時間01分。
ちょっとオーバー! いつも通りの展開!
でも無事ゴールできたし何でもいいか。
コンビニのドリップコーヒーをゆっくり啜る。
時間を気にせずに飲むコーヒーはうまい。
寒さと疲れが苦みの中に溶けていった。
その後はゴール受付してから閉店間際のラーメン屋で晩飯。
フェリーで酒盛りしながら帰りましたとさ。
(おわり)
ゴール受付の看板
祝杯。雨に濡れたせいで靴の臭いがやばかった