デブとブルベとロングライド

デブが走ったブルベとロングライドの記録

BRM611中部300kmのこと-3

 

PC3

 

イートインから窓の外を眺める。
がっつり本降り。
止む気配も弱まる気配もない。
しぶしぶレインウェアを着た。

まぁ本来は昼から降る予報だった。
夕方まで持ってくれただけでも儲け物だろう。

わかってる。
でもウンザリする。
ヒルクライム前の降雨は。

この先には宇利峠と本宮山が待っている。
宇利峠はともかく、本宮山はなぁ……。
スカイラインがある山が楽させてくれるはずもない。
この後の地獄を思うとため息が止まらなかった。

走行再開。

猪鼻湖の西側を北上。
みかんで有名な三ヶ日イン。

みかん=坂と同義。
当然ヒルクライムが始まる。
車が猛スピードで駆け降りてくる。
非常に怖い。

東名高速道路の上を通過。
ダウンヒルして新城イン。
秒で駆け抜けてヒルクライム再開。
さよなら文明。

国道301号を必死に上る。
宇利峠なんて比較にならないほどしんどい。
リア34Tでも足が回らん。
50km地点で痛めた膝が爆発しそう。


膝を守りつつ必死にペダルを踏み続ける。
と、スカイライン入り口の案内板が見えてきた。



「よっしゃ、これでヒルクライム終了!」

……と思ったら再び坂が現れた。あれ?

どうやら勘違いしていたようだ。

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地味な上りを走り続けて作手高原イン。

雨。疲労。膝痛。ぬか喜び。
それだけでも辛いのにバチグソに寒い。
標高500mという事も忘れてた。

心も身体も限界。
一度集中を切ったもんだから辛抱が効かない。

暖を求めて雨夜の作手を彷徨う。
と、前方に明るい看板を発見。
近寄ってみる。
車の販売店だった。
この野郎……。

と、またしても明るい看板。
今度はちゃんとコンビニだった。
入店してカップヌードルを食べる。
うまい……。
ついでにホットコーヒーも飲んだ。


気力回復。走行再開。

しばらく走って岡崎イン。
こんどこそ本当に上りが終了。
やったー。

坂を軽快に下って先に進み、根引峠に到着。
急勾配かつカーブがきつい。
スリップしないように慎重に下る。

松平橋を通過。

この辺りまで来ると「地元」と言っていい範囲。
雨も弱くなってきたし かなり気が楽になった。

鼻歌混じりで地元の道を走り抜ける。
環状線を通過。
そして豊田市街地にイン。

長い地獄を抜け出して最後のPCに到着した。

 

PC4


補給はほぼせず。
残り30km程度なので。

雨はまだ多少降っている。
が、もう本降りに戻る気配なし。
平地に戻ったことで蒸し暑くなったので、レインパンツだけ脱ぐことにした。

走行再開。

豊田スタジアム前を抜けて国道248号へ。
北に向かってひたすら直進。
四郷を抜けて猿投神社前を通過する。

ライトのバッテリー警告灯が点灯した。
電池が残りわずかとなったようだ。
予備ライトを持ってきてよかった。
防水対策のラップを外してハンドルにセットする。
スイッチON。
バッテリー警告灯が点灯した。
なんでだよ。

どうもラップを強く巻きすぎたっぽい。
 ラップがスイッチを押し込む
 →誤作動防止が働く
 →ラップがスイッチを押し込む
 →以下エンドレス
これで電池が切れた模様。
なんてこったい。

RN1500はモバイルバッテリー給電でも点灯可能なライトだ。
モバイルバッテリーはある。
が、外付けケーブルを持ってこなかった。
バッテリー内蔵のケーブルは極端に短い。
フロントバッグからライトまでケーブルが届かない。
それにケーブルが届いたとしても、雨はまだ降っている。
充電しながら走ったら端子が濡れてライトが故障しかねない。

うーん、どうしよう。
しばらく悩む。
そして出した結論。

「時間に余裕あるし止まって充電するか」

残すは戸越峠のみ。
必要時間を差っ引いても1時間以上の余裕がある。
危険を冒して急ぐより、足を止めて充電することにした。

コンビニにイン。
コーヒーをすすりながら充電する。
20分後、走行再開。

節電しながら戸越峠イン。
淡々とペダルを回し続けて、あっさり通過。

ダウンヒル開始。
道路脇にフタのない側溝があるので気をつけて走る。

と、バッテリー警告灯が点灯した。
ちょっと足りなかったか。

国道248号に到着。
あとちょっとだから頑張って!
RN1500に声援を送りながらペースを上げる。

信号通過。
大急ぎで坂を上ってゴールの道の駅に駆け込む。

「よっしゃ耐えたぁ!」

趣旨が変わってしまった。
これではブルベでなく消灯チキンレースだ。
謎の充実感で一瞬ゴール受付を忘れかけた。

自転車を置いてゴール受付へ。
ブルベカード表面のQRコードをリーダーにかざす。


モニターに表示されたゴール時間をカードに記入する。
その他、記入漏れがないかチェック。
証跡のレシートと合わせて受付に提出する。


BRM611中部300km、これにて終了!

過去敗けたコースにリベンジ達成。
そして何よりノーパンクでフィニッシュ!
正直、後者の方がよっぽど嬉しかった。
3月から続いたパンクの呪いがようやく終わった。

過去の亡霊どもをまとめてぶっ倒し、清々しい気持ちで帰宅。
その後は風呂屋で汗を流しましたとさ。


(おわり)