デブとブルベとロングライド

デブが走ったブルベとロングライドの記録

BRM501日本橋1000kmのこと-8

 

3日目〜


3時間ほど寝て起床。
フラットシート席が満席だったので椅子席での仮眠となったが、意外と快適だった。

店を出て少し走ると、すき家発見。
牛皿の朝食をマッハで食べる。
このブルベで初めて朝飯をゆっくり食べた。
幸せだ。

ついでにトイレも済ませて出発。

強烈な向かい風の中を北上川に沿って北上する。
信号のない快走路。
しかも中尊寺までは平坦基調。
ここで時間を稼げば後が楽になる。
風に逆らってペダルをガンガン踏み続けた。

30kmほど走って留米大橋交差点に到着。

赤信号。
停車のついでにスマホで行程チェックするか。
バックポケットに手を回す。


「……スマホがない」


血の気が引いた。

自転車から飛び降りる。
全てのバッグをひっくり返す。
なし。なし。なし。
スマホはどこにもない。

混乱した頭で必死に考える。
走ってる最中に落としたか。
いやそんな音や感触はなかった。
快活クラブに忘れたとか。
会計はpaypayで支払った。
その他の可能性は。

すき家か……」

朝食時の出来事を必死に思い出す。

と、2日目に会ったCANYONのお兄さんが通りかかった。
事情を説明して協力を仰ぐ。

道中に落ちてなかったか質問。
→心当たりなし。
スマホを借りて自分の電話番号に発信。
→荷物の中から着信音・バイブ音はせず。
快活クラブに電話。
→「忘れ物はありませんでした」

すき家は電話番号が非公開で確認できず。
が、消去法。
ほぼ間違いないだろう。
お兄さんに足を止めた詫びとお礼を伝えて別れた。


さて。


踵を返して走って来た道を戻る。
追い風だが足取りは重かった。

スマホすき家におそらくあるはずだ。
が、万が一ということもある。
一応路上はチェック。
反対車線に目を凝らす。

何も見つからないまま すき家に到着。
落とし物がないか店員に尋ねる。

「あ、トイレにありましたよ」

その場にへなへなと座り込んだ。
良かったぁ……。

店員にお礼を言って店を出る。
コースに復帰して、同じ場所を行ったり来たりしながら考える。

PCまでは残り310km。
クローズタイムは15時間後。
区間の獲得標高は普通のブルベ以下だろう。

一方で、自分の300kmのベストタイムは換算で約17時間。

500km以上走ってきた足で。
台風並みの逆風の中を。
自己ベストを2時間更新するペースで。
走るか、走らないか。

散々悩んで出した結論は。


「DNFします」


ブルベカードの連絡先にメールを送信。
こうして自分のBRM501日本橋1000kmは終わりましたとさ。


*******


そんな訳で初めての1000kmブルベはスマホ紛失DNFでした。
なんとも情けない。
なおスマホ紛失DNFは2回目。*1
学習能力ゼロか。

今回のブルベは自分にしては珍しく完走にかなりこだわっていた。
助けてくれた人達の恩に報いるにはそれしかないと思ったので。
でも、完走で恩返ししたいのは自分の勝手。
ムキになって事故など起こせば、それこそ恩を仇で返す結果になってしまう。

「迷惑をかけないことが最大の恩返し」

最後は意地より安全を優先した。

むっちゃ悔しい。
力をつけて出直します。


(おわり)



石巻をゴールとする

*1:余談:一度目のスマホ紛失DNFは四国の600kmブルベでやらかした。徳島の田舎でスマホ紛失に気づき、目の前に家の人に電話を借りようと声をかけたら、その方が地元の先生で「そこら中の施設に教え子がいるからスマホがないか聞いてあげる」と言ってくれた。結果、教え子が店長をしているラーメン屋の駐車場でスマホ発見。そのままラーメン屋まで往復80kmも車で送ってくれたという、運がいいんだか悪いんだかわからないエピソードが生まれた。