デブとブルベとロングライド

デブが走ったブルベとロングライドの記録

BRM503中部1000kmのこと-4

PC5


クローズ時間、14分前。
人間、諦めなければ何とかなるもんだな。
他人事のようにそう思った。

そんな事よりも。
購入したカニカマを咥えて店前に立ち、今しがた自分が走ってきた方向を凝視する。

「……あ、来た!!」

一緒に走った2人が猛烈な勢いで駆け込んできた。
自転車を置いて店内になだれ込む。

「間に合った!?」

出てきた2人のレシートを見せてもらう。
5分前と2分前。
ぎりぎりセーフ!
3人で喜び合った。

ほっとしたら疲れが出たため長めに休憩。
その後、走行再開。

「僕はここの銭湯で仮眠します」

京都市内へ向かう途中で若い子が言った。
終盤に疲労で失速してたし、早めの休息を選択したようだ。
銭湯の前で別れ、残りの2人で先へ進む。

京都市内イン。
ココイチで晩飯を済ませつつ京都を横断。
交通量におびえながら逢坂峠を越える。

電車と並走しながら滋賀県イン。
ビワイチやオダックス近畿のブルベで見慣れた道を駆け抜ける。
途中、唐津橋を越えたところで一旦コースを離脱。
しばらく北上して目的地に到着。

「入浴中ならイビキかいて寝ても起こされまい」

そう考えてこの日は風呂屋で寝ることにした。
1000円を払って入場。
日焼けに湯が染みたが、汗を流せて超スッキリ。
その後は寝ころび湯で爆睡した。

閉店30分前、起床。

睡眠は2時間程度だったが、かなり回復。
風呂は偉大だ。
汗まみれのウェアを再び着て店を出た。

走行再開。

コースに復帰して国道1号を東へ走る。
琵琶湖周りを過ぎると明かりが激減。
暗くなるにつれて睡魔が襲ってきた。
少し寝たとはいえ疲労はまだまだ残っている。
ここまで来て事故っては元も子もないので気をつけて走る。

しばらく走って土山に到着。
疲れたのでコンビニで長めに休憩。


ここから先は鈴鹿峠
ヒルクライムはこれが最後。
きつい峠ではないが問題はダウンヒル
下りはペダルを回さない。
動きがなくなると眠くなる。
先日の400kmでも清内路峠で意識が飛んだ。
同じ失敗を繰り返さぬよう眠気防止のグミを胸ポケットに仕込む。

鈴鹿峠、アタック開始。

眠気を堪えながら峠道を上る。
国道1号なのでトラックが越えられないような勾配は無い。
が、交通量が多いため路面が荒れている。
轍や穴にハマらないように凝視しながら走る。

チンタラ走って鈴鹿峠を踏破。
あとは下るだけ。
眠気覚ましのグミを口に入れてダウンヒル開始。

「こ、こええぇぇ!!」

道ガッタガタ。
振動で尾灯がひとつ吹っ飛んでった。
2千円もしたのに!
その後も振動や眠気と戦いながら下り続ける。
一瞬寝落ちしかけたがグミを追加投入して何とか堪える。

ひたすら下りまくって関宿に到着。
五体満足。落車もパンクもなし
奇跡だ。

が、クッタクタに疲れ果ててしまった。

「ちょっと休憩しましょう」

ここから先には山もPCもない無い。
先を急ぐより息を整える方を優先。
早朝の関宿を眺めながらコーラを飲む。
ついでにトイレを済ませた。

走行再開。

関宿を出て農免道路を通過。
アップダウンがあったがすぐに終了。
その後はほぼ平坦。
軽快に亀山を走り抜けて鈴鹿イン。
国道23号を渡って白子を北上し、最後の通過チェックに到着した。

 

通過チェック

「うーん微妙な時間」

仮想クローズ時間に対して90分遅れ。
残りは平坦のみだし普通に走れば十分間に合う時間。
が、すでに900km走ってるので普通には走れない。
眠いし、ケツ痛いし、疲れた。
坂は無くても不安要素は山ほどある。
パンク等のトラブルだっていつ起きるか分からない。
何か起きても対応できるように、動けるうちに巻いておく必要がある。

ペースを上げて走行再開。

鈴鹿四日市を抜けて愛知イン。
国道1号を抜けて蟹江を通過する。
おそらくまだ20分くらい遅れている。

新川に沿って北上。
途中で萱津橋を渡り、今度は庄内川沿いへ。
多分ほぼオンタイム。

水分橋を渡って守山イン。
きっとオンタイムより若干巻いたはず。
が、信号ばかりで焦りが消えない。

尾張旭を通過して瀬戸イン。
新瀬戸駅を北上してホーユー前の坂を上る。
そして。



ゴールタイム、74時間36分。
BRM503中部1000km、時間内に完走!
やっと寝られる!笑

制限時間の24分前。
一度でもパンクしたら終わるとヒヤヒヤしながら最後まで走った。
何せパンクのプロなので。


その後はゴールで前日一緒に走った2人の到着を待つ。
一人は少し遅れて無事ゴール。(途中でバラけた)
もう一人は信号待ちで車に追突されてDNSしたとの報せが入り絶句。

喜びとやるせなさを抱えて帰路につきましたとさ。


(おわり)