デブとブルベとロングライド

デブが走ったブルベとロングライドの記録

北海道に行ったこと(2023年夏 ツールド道南 白い帯広)-3

 

3日目

夜中の雨でテントがずぶ濡れ。
干したがなかなか乾かない。
仕方ないので濡れたまま袋に収納した。



コンビニで準備を整えて出発。

雲は厚いがわずかに青空も覗いている。
雨雲レーダーに雨雲はない。
天気は何とか持ちそうだ。

昨日と同じく樹海を進む。
途中、 熊の像パシャ。


しばらく進むと標識が登場。
「一合目」
という事は十合目まであるのか。

標識を越えて先へ進む。
じわーっとした坂。
きつくても大体6%ぐらい。
この程度ならさほど消耗せずに走れる。
と思っていたら。

霧ェ……。

どんどんと濃くなる。
もはや雨と大差なし。
気づけば気温も下がってきた。

「つらい……」

5m先すら見えない白い闇
前から後ろから車両が突っ込んできて非常に怖い。
お前ら樹海ロードにはおらんかったやんけ。
どっから湧いたんや。

「うるぁあ!!踏破あぁッ!!」

頂上到着。
(雨で道中は写真撮れず)

気温11℃。
霧は完全に雨に変わった。
風もクソ強い。
もはや感慨ゼロ。
こんな場所からは1秒でも早く移動したい。
防寒着をさっさと着て出発する。

「寒いーッ!」


分かっちゃいたがクソほど寒い。
だって今年酷暑だったもん。
苫小牧も30℃超だったもん。
だからちゃんとした防寒着持ってきてないもん。

コンプレッションインナー
夏用長袖ジャージ
サーマルベスト(防風性なし)
レーパン
コンプレッションタイツ
レインウェア上下

この装備で濡れた11℃ダウンヒル奥歯が鳴るほど寒いという貴重な経験値を得た。

寒さを堪えながら必死に坂を下る。
と、ドライブインを発見。
ありがたやー!
猛烈な勢いでピットイン。



生き返った。

敷地の端にあった看板から十勝平野を眺める。
帯広は見渡す限り真っ白だった。


走行再開。

十勝清水ICを通過すると急に文明が開花。
さっきまでの苦労は一体。

町を通り抜けて国道274号→38号へ。
そのまま走り続けて帯広の中心部に到着。



札幌や北見のような感じではないがかなり都会。
広い歩道をクロスバイクMTBが走っている。
北海道でこんなに自転車を見たのは初めてだ。

さて、これからどうしようか。

帯広自体が目的で行きたい場所は特になし。
コンビニの駐車場でしばらく考えこむ。

「あ、 六花亭がある」

ネットで発見。
割と近いっぽい。
とりあえず向かってみる。



「儲ってんなぁ・・・・・・」

建物はエグいくらいにキレイだった。
中は物販だけでなくレストランもあるらしい。
腹が減っていたのでスイーツを食べた。


場違い of 場違い。
汗と雨に濡れたおっさんが独りでくる場所じゃない。
心の底から反省した。

スイーツを食べながら今夜の宿を考える。
近くにめぼしい(というか安い) キャンプ場なし。
それに今夜は雨らしい。
できればライダーハウスに泊まりたい。

たしか帯広には有名なライハが有った気がする。
kindleで以前買ったルポ漫画から記述を探す。

「えーっと……あった。カニの家か」

正式名称は大正カニの家というらしい。

場所はここから約20km弱くらい。
予約は必要ないらしい。
宿泊費は……無料!!
今夜の宿が決まった。

六花亭を後にして帯広を駆け抜ける。

次第に家が減って郊外型施設が増えてきた。
それも通り過ぎると今度は広大な畑。
視界の左右を「北海道」 が流れていく。

1時間ほど走ってカニの家に到着。


立派なログハウス。
大型駐車場に炊事棟、サイクルラックもある。

扉を開けて屋内に入る。


中はロフト構造の2階建て。
床はバリアフリーでキッチンはIH。
洋式水洗トイレにシャワー室まである。
こわい。
何で無料なんだ。
本州なら1泊1万円くらいするぞ。
後でヤマンバでも出てくるんじゃ。

「宿泊の方は書類の記入が必要ですよ」

声がしたので振り向く。
ヤマンバでなく青年がいた。
青年曰く、後で管理人に渡すらしい。
要はチェックイン手続きみたいなものか。

「3連泊まで可能です」
「僕は3日目なので移動します」
「それでは良い旅を」

そういって青年は去っていった。
RPGの説明キャラみたいだ。

2階の就寝スペースに荷物を置く。
その後はシャワー。
ついでにウェアも手洗いした。
(洗濯機はナシ)

ふーさっぱり。

身支度が終了。
談話スペースに移動して書類を記入する。
と、宿泊者が続々と現れた。
全員バイク乗りのようだ。
カニの家は徒歩か二輪のみ宿泊可。
徒歩、自転車はあまり居ないし、そうなるわな。

「よかったら一緒に晩飯行きませんか」

一人で来たバイク乗りに声をかけられた。
近くにジンギスカン屋があるらしい。
袖振り合うも他生の縁。
是非行きましょう。

「身分証を確認するので集まってくださーい」

玄関から声がした。
管理人が到着したようだ。
全員1階に集合する。

「まず利用上の注意点をお伝えします」

禁酒禁煙、ごみ分別。
トラブル即警察に通報などが伝えられる。

「昨日は寝ぼけた人が他の人に小便をかけてました笑」

恐怖エピソード。
全員が互いの顔を見て小便しそうな奴をマークした気がする。

つづいて書類チェック。
身分証と照合しながら一人ずつ確認を受ける。
不審者防止のために必要らしい。
本来はこの後に掃除もするとのこと。
が、この日は無しで解散となった。

解散の流れで先ほどのバイク乗りと合流。
歩いてジンギスカン屋に向かう。


「いらっしゃーせー」

徒歩5分で到着。
店のしなびた外観とは裏腹に店長は若い。

「ビールとジンギスカンくださーい」

乾杯。
肉を食べながらバイク乗りの話を聞く。
大型バイクに乗っていること。
なかなか休みが取れないこと。
カニの家は昔泊まったことがあること。
無料宿なので地元にお金を落としたいこと。
色々と熱く語ってくれた。
閉店間際だったため、途中から店長も参戦。
地元の濃い話も聞きながら盛り上がる。

「ここは僕が奢ります」

会計時にバイク乗りが言った。
さすがに断る。
が、聞き入れてもらえない。
ありがたく素直に甘えることにした。

再び歩いてカニの家に戻る。
他の人たちは早々と床に就いたようだ。
自分も峠越えで疲れた。
身支度を手早く済ませ、さっさと寝袋にもぐりこんだ。


(つづく)


キャンプ場付近の景色。マジでなんもねぇ……


帯広駅周辺では祭が行われていた

カニの家 1階の様子。奥の部屋は女性専用部屋


カニの家は最初テント小屋だったらしい