PC1から数分走った辺りにそば屋を発見。
のれんをくぐって着席する。
こじんまりとした店内に、オバちゃんとおばあちゃんの接客係。
先客は数組ほど。
これならサッと食べてリスタートできそうだ。
……と思ったら。
店の手際がむちゃくちゃ悪い。
注文は後ほどと言われたっきり、注文を聞きに来ない。
声をかけたがテンパり中。
この少ない客数でどうしてテンパるのか。
不安になって厨房をチラ見する。
年寄りの姿しか見えない。
うーん、これはちょっとヤバいかもしれない。
店を出るか悩み始める。
と、店員が来てしまった。くっそ。
仕方ないのでそばを注文する。
これならすぐ作れるだろうし、すぐ食い終わる。
時間ロスは最小限にとどめられるだろう。
……と思ったら。
そばが出てこない。
待てど暮らせど出てこない。
もう、こうなったら仕方ない。
年寄りをシバくのは嫌だ。
だったら時間を有効活用するほかない。
てなわけで机に突っ伏して仮眠した。
注文から25分後。
「おまたせしましたー」
ほんとにな。
味、量が待ち時間にまったく比例していない。
何に25分かかったのか不思議で仕方ない。
が、そんなどうでもいい。
2分でそばを食い尽くしてお会計。
逃げるように店を飛び出した。
店まで自転車を準備しながら悶々と考える。
あまりにも大誤算だ。
そば1杯で50分近くも溶けるとは。
昨年の方がまだマシだった。
ただ、店を選んだのは自分。
強引に連れ込まれたわけじゃない。
店選びが下手な自分が悪いだけ。
そう言い聞かせて負の感情を飲みこむ。
……飲めねぇよ。
走行再開。
近くのローソンで補給食を大量購入。
そばだけじゃ腹がもたない。
パンなどを食べながら先へ進む。
広い道路を少し走り、交差点を右折。
ここから15kmほどヒルクライム。
昨年はここで他の参加者と合流した。
今年は前後に人影なし。
完全に出遅れたしねぇ。
でもまだ時間に余裕はある。
普通に走れば次のPCには間に合うはず。
慌てず腰を据えて坂を上る。
途中休憩を挟みつつ峠を踏破。
トンネルを抜けて石川県イン。
ここからは長い長い下り坂。
ありがたいことに気温が高め。
防寒着は必要なし。
そのままの格好でダウンヒル開始。
昨年立ち寄った道の駅などを一気に通過。
野々市市を抜けて金沢市イン。
あっという間に市街地に到着。
バイパスのような道路をひたすら北上する。
山と違って人も車も多い。
また路肩には砂利や段差もある。
気をつけるポイントが多くて結構疲れる。
「確かこの辺りにあったと思うんだけど」
辺りを見回しながら走り続ける。
「……あった!」
ご当地チェーンのすしべんに到着。
昨年みんなで立ち寄った思い出の味。
時間がなくてもここだけは寄ると決めていた。
席についてご飯とうどんを注文する。
5分で登場。
早すぎて泣くかと思った。
ついでにおでんも注文。
この先で市街地ゾーンが終わるのでガス欠にならないようにたらふく食った。
走行再開。
かほく市イン。
内灘大橋を渡り県道162号をひた走る。
右側の木々の隙間から遠くの水路とほのかな町明かり見える。
ここの景色好きだなぁ。
暗くて静かな道を黙々と走り続け、国道249号に合流。
そのまま北上し続けて羽咋市イン。
兵庫町の交差点を左折する。
少し直進したのち、PC2に到着した。
(つづく)
「味噌は?」と思ったがここは愛知ではなかった