PC2
左手の芝生、右手の駐車場を交互に見る。
有人チェックだがスタッフの姿が見当たらない。
探しているうちに潮岬を通り過ぎてしまった。
立ち止まってキューシートを確認する。
PCはやはり潮岬で合っている。
この先にポイントがあるとは思えない。
来た道を引き返すことにした。
ふたたび左右を見ながら走る。
と、駐車場の奥にちらっと反射ベストが。
あーあそこなのか。
手前の車両の陰になって見えなかったようだ。
あやうくスルーするところだった。
スタッフに近寄りブルベカードを提出する。
……より先に雑煮要否とモチの数を聞かれた笑
(調理に時間がかかるから雑煮優先)
雑煮とチェックをもらってベンチに座る。
うまいー。染み渡るー。
あっという間に平らげてしまった。
走行再開。
市街地を抜けて橋杭岩を通過。
早朝に居た人たちは姿を消していた。
日が昇ったら用は無いらしい。
「あ一眠いー」
疲労、陽気、食事、そりゃあ眠くもなる。
我慢したが、あくびが止まらない。
危険信号と判断して道の駅に入る。
寝る前に食堂で生しらす丼を注文。
胃が復活した反動で空腹感がひどい。
雑煮だけではPCまで持ちそうにない。
マッハで完食。
その後はベンチで仮眠。
15分後に起床して走行再開。
うーん、せわしない。
向かい風の中を少しペースを上げて走る。
余裕は多少あるがパンク1回で消し飛ぶ程度。
安全圏とはいいがたい。
それにいつまた眠くなるか分からない。
進めるときに進むべし。
紀伊勝浦を通過。
大きめの坂を越えて新宮イン。
町中を突き進んで熊野大橋を渡る。
新宮を抜けたら熊野までは平坦路。
ここで一気にスピードアップ。
と行きたいが風が強い。
逆風の中で必死にペダルを回し続ける。
いい加減ムカついてきたころ、PCに到着した。
PC3
カップ麺を食べたいがお湯がないらしい。
仕方ないのでビストロまんを食べた。
食事しながらブルベカードを記入する。
貯金は約1時間。
この先には矢ノ川峠と荷坂峠がある。
そこを過ぎれば残りは下り基調。
(広域農道みたいなアップダウンはあるけど)
眠気やパンクに気をつければ問題ないだろう。
よっしゃ、あと一息。
眠気対策のグミを買って出発。
熊野市駅前を通り、鬼ヶ城の歩道トンネルへ。
少し走って最初の関門、佐田坂に到着。
結構な勾配をひたすら上る。
往路の矢ノ川峠よりこっちの方がしんどい。
あーつらい。
そのまま大又川沿いに走り続けてヤケクソで矢ノ川トンネルを通過した。
トンネルの後は町に向かってダウンヒル。
気温は6℃。
ウェアは防風なしのメリノジャージと腹巻のみ。
さすがにまずいかなと思ったが、平気だった。
なんでペラペラなのに平気なんだろう。
体調バグったかな。
ぐんぐん下って市街地イン。
休憩するか迷ったが、続行。
明るいうちに少しでも進みたい。
町を抜けて尾鷲トンネルを通過。
そのままの勢いで海山町を後にする。
あくびがまた出始めた。
そろそろ休憩した方がよさそうだ。
が、道沿いにコンビニなし。
やはり尾鷲で寄っておくべきだったか。
仕方ないのでグミで急場をしのぐ。
謎に明るい歩道トンネルを通過。
そのまま走って紀伊長島に到着。
ようやくコンビニ登場。
ホットドリンクとビストロまんで小休止。
ビストロまんめっちゃうまい。
その後は荷坂峠にアタック。
「すんげえぇ辛えええ」
疲労もあってか今回イチで辛い。
それでも休む場所はない。
知らぬ間に痛み出した股関節をかばいながら必死にペダルを回す。
し、しんどかった。
坂を下り、そのまま進む。
眠気がさらに強まった。
そろそろグミじゃ抑えきれないかも。
昨年は寝ぼけて柵に突っ込みかけた。
それだけは絶対に避けなければ。
紀伊大内山IC前を通過。
急に寒くなってきた。
峠よりよっぽど寒い。
サイコンの温度計を確認する。
気温0℃。
何でこんなとこが今回イチ寒いんだよ。
昨日10℃近くあったやんけ。
たまらずコンビニに入る。
秘密兵器、装着。
タイツは5℃対応。
0℃だとケツが寒い。
が、ニッカは前面が汗をかくうえケツは暖まらない。
てな訳でトレイルスカートを履いた。
元旦にスカートを履くおっさん。
でも見てくれなんか気にしない。
今はとにかくゴールが優先だ。
酸っぱいグミをしこたま買って走行再開。
眠気でフラフラしながら勢和多気ICを通過する。
次第に建物が増えてきた。
と思ったらあっという間に市街地に到着。
「よっしゃ、ラストスパート」
車に気をつけながら、朝来た道を戻る。
最後のコーナーを曲がり、ゴールに到着。
そして。
BRM1231近畿400km、無事完走!
ゴールタイムは39時間+α。
ふがいないが、今回はリベンジマッチ。
時間内にゴールできれば何でもいい。笑
ゴール後はスタート前と同じ快活クラブへ。
シャワーを浴びて、気絶の速度で爆睡する。
翌朝ようやくネットを見て能登半島の惨状を知った。
年越しブルベ。正月の地震。
紙一重の日常。
帰る前に伊勢神宮に参拝。
いろんな思いを託して帰宅しましたとさ。
(おわり)
被災された方達が1日も早く穏やかな生活を取り戻せますようにとの願いを込めて参拝