PC4〜PC5
ロマンは眠気に負けた。
自転車で訪れることをずっと夢見ていた足摺岬。
そんなことどうでもいい。
眠い。さっさと先へ進みたい。
通過証明の写真を撮って、物の数分で岬を後にした。
足摺半島をぐるっと回って国道321号に戻る。
その後は先ほど通ってきた道を逆走。
眠気は一向に収まらない。
その辺で寝ようかと思ったが、気温がかなり低い。
それに雷雲が出ているため野宿は危険に思われた。
とにかく先へ進むしかない。
重くのしかかる眠気を我慢し、ひたすら走り続ける。
道中の記憶は全くないが、気がつくと目の前にPC5のコンビニがあった。
PC5〜PC6
水と塩タブレットだけ補充。
少し仮眠して走行を再開する。
眠気は全く取れなかった。
黒潮町イン。
空の色が変わってきた。夜明けが近そうだ。
……とか思っていたらパンクした。ついてない。
タイヤを外してチューブを交換。
異物をチェックしたのちホイールにタイヤを装着する。
修理が終わる頃にはすっかり空は明るくなっていた。
点検。問題なし。走行再開。
片坂に到着。
勾配はそんなにきつくない。
さっさと通過……するつもりが。
トイレ（大）行きたい……
大問題が発生。
普段ブルベでは便秘になる。
今回もブルベ前から便秘。PCでも出なかった。
それが今、四国の山の中で。
大ピンチである。
便意は秒刻みで強くなる。
タメ無しで発動とか算術士か。（FFT大好き）
腹痛に耐えながらトイレを探す。
そんなもの峠にある訳ない。
もう無理。無理つったら無理。
もはやトイレを諦めて野グちょめちょめポイントを探し始めたそのとき、建物が現れた。
文明！ トイレどこ！
血眼になって探す。
前方に道の駅を発見。
か、神様ー！
家畜に神はいないがランドヌールにはいたらしい。（FFT大好き）
自転車を投げ捨てて一目散にトイレに駆け込む。
……ふぅ。
すんでのところで人としての尊厳を失わずに済んだ。
ついでにベンチで仮眠し、走行再開。
七子峠を抜けて土佐久礼へ。
眠気は益々強くなる。
走りながら寝落ちし、落車しかけること数回。
これ以上は危険と判断して国道で仮眠した。
その後も走っては止まっての繰り返し。
2時間以上余裕のあったタイムは、PC6に到着する頃には1時間を切っていた。
（つづく）
