デブとブルベとロングライド

デブが走ったブルベとロングライドの記録

BRM1106近畿400kmのこと-2

 

PC3〜PC4

補給は少な目にした。
次のPCまでそんなに遠くないので。

ちょっと足を休めてから出発。

越備北線に沿って西へ向かう。
美山で沿線を離れて国道476号へ。
少し走って県道2号に乗り換える
新清水谷トンネルを抜けて越前市イン。
PC4、あっさり到着。

晩飯時だがPCでは飲み物だけ買ってすぐに出発した。
せっかく町にいることだし飯屋で出来立てを食いたい。

店を探して町をうろつく。
コース脇に中華料理屋があったのでイン。
座敷席に座って酢豚定食を注文する。

飯が出来るまで畳の上に横たわる。
眠気と疲れがどろどろ溶けてめちゃ心地良い。
酢豚が運ばれてくるまでの短い時間だったが結構回復できた。

f:id:tagokem:20211113100624j:plain

マッハで食って走行再開。

北陸本線沿いに南下する。
日野川を渡って国道365号に乗り今庄方面へ。
途中で国道476号との重複区間になる。
この辺りも昨年走った道。
感覚を覚えているため不安なし。


道脇の川が孫谷川に変わった。
ここからヒルクライムがスタート。
買っておいたレッドブルを飲み干す。

たしか分岐まではそこまでキツくなかったはず。
記憶を頼りに一定のリズムでペダルを踏む。
楽ではないがしんどくもない。
ほどほどの疲労感で分岐点に到着。

さて、ここからが本番。

この先は街灯一つないつづら折り。
その時の印象は怖くて独りじゃ絶対通れない。
昨年は数人で通過したが今年は独り。

………。


「ここさえ終わればイージー
「峠を越えれば文明の灯り」
「稀に車通るから何かあっても多分助けてくれる」


己に暗示をかけて闇に飛び込む。
前照灯とヘッデンをつけても暗い。
etrexの地図で地形を確認しながら慎重に走る。
と、前方を獣の影が横切った。

「小動物! あれは小動物!」

自分にウソをついて前に進む。
アレはきっとうさぎ。
うさぎじゃなきゃ許さない。

幸い、その後は生き物の気配なし。
レッドブルのおかげか足も撃らず。
気づけば足つきなしで栃ノ木峠を踏破した。

f:id:tagokem:20211113100625j:plain


昨年はここで防寒着を着た。
が、それは他の人もいたから。
独りである今は寒さより怖さの方が遥かに強い。

こんな所からはさっさとオサラバしたい。
たしか少し下った所にトンネルがあったはず。
防寒着はそこで着ることにして逃げるように先を急ぐ。

闇に浮かぶ滋賀県の文字をくぐって滋賀イン。
ダウンヒル開始。

……トンネルってこんなに遠かったっけ。

トンネルが全然出てこない。
寒風を浴びながら坂をどんどん下る。
結局トンネルは記憶よりも遥か下方にあった。

ただ、なぜかほとんど寒さを感じなかった。
昨年は0℃対応ウェアを着ていても寒かったのに。
緊張や疲労、眠気の影響だろうか。
まぁいいや、結果オーライ。
もはや防寒着が無くても走れる気温。
トンネルでの着替えはやめて、そのままPC5になだれ込んだ。

 

PC5~ゴール

PC5は壁ヶ岳SA。
北陸自動車道の施設だが一般道からも入場できるとのこと。
へー知らなかった。

f:id:tagokem:20211113100631j:plain

建物の脇に自転車を置いてフードコートへ。
腹は減っていなかったが寒かったためうどんを購入。

f:id:tagokem:20211113100646j:plain

f:id:tagokem:20211113100636j:plain


地球で一番うまい……。

食後はソファーで仮眠。
窓越しの冷気で寒いが横になれるのはありがたい。

30分後、起床。出発。
ここから先はフォトチェックとゴールのみ。
現時点で1時間以上の余裕がある。
認定完走はもう決まったようなものだ。
脳内でゴールテープを切って、足取り軽く走っていた。

……のだが。


眠い……。


どうやら気が緩んだようだ。

主要ヒルクライムが終わったこと。
寒さのピークを過ぎたこと。
暗間を通り過ぎた事。
ゴールできそうなこと。

色んな要素が重なった所に中途半端な仮眠をしたため、眠気ダムが決壊したらしい。

溢れだした眠気はもう止まらなかった。
たまらず近くのコンビニにピットイン。
駐車場の隅で横になる。
15分後、無理矢理起きて走行再開。

以降はその繰り返し。
寝て起きて、寝て起きて、寝て起きて。
刻みながらゴールを目指す。

ペースは全く上がらない。でも仕方ない。
4月のブルベでマイクロスリープを繰り返した。

そのときはたまたま落車も事故もなかった。
が、運はいつか尽きる。
「遅くても間に合わなくても眠い時は止まる」
自分で決めたルールを守りながらゆっくり走った。


数時間、ようやくフォトチェックに到着。

f:id:tagokem:20211113100652j:plain

f:id:tagokem:20211113100659j:plain


なんか来るたびにモニュメント増えてるような……。

更に南下して近江大橋を渡る。
空が少し青みを帯びてきた。
交通量の多い国道1号に乗って逢坂峠を通過。
空がどんどん明るくなる。
夜明けとともに眠気はかなり収まった。
ありがたい。

国道1号を外れて旧東海道へ。
寺や老舗の商店が並ぶ路地をすり抜ける。

東山駅前を通過。
三条川を渡る。
そして。

ゴールのホテル前に到着!
時間は25時間半とちょっと。
なんとか時間内に完走!
ていうか事故も落車もなかった!
(こっちの方がうれしい)


そんな訳で。

全体的にタレ気味で、特にPC5以降は2年連続SRを獲得したとは思えない超絶ノロノロ走行だったけど、2022年度の初ブルベはなんとか時間内に完走で終幕。

その後は車を回収して快活クラブで仮眠したのち、愛知に帰りましたとさ。


(おわり)


f:id:tagokem:20211113104827p:plain
眠かった……